SONY ICF-5600 SKY SENSOR 5600

ICF-5500の性能向上と使いやすさの向上を目的にモデルチェンジ

SONY ICF-5600
SONY ICF-5600

SONY SKY SENSOR 5600

 

・ICF-5600

 (昭和49年5月21日発売)

 ¥20,500

 

※本製品の製造完了は昭和51年です。

SONY BCLラジオ年表をご参照いただければおわかりのように、スカイセンサー・シリーズのラジオは型番の順序と発売時期の新旧は全く一致していません。つまり型番の数字が若いほど発表時期が前であるとはなっていないのです。

 

有名なスカイセンサー5500(ICF-5500)がシリーズの最初に発売されたことは事実なのですが、以後型番は前後していますしそのたびにラジオとしての機能に迷いが見られ、素直に進化をたどりません。また外装のデザインにも迷いが見られます。

 

5500で従来の11(イレブン)シリーズから大きく脱却し縦型の新しいスタイルを提案し大きな話題を呼びましたが、 その4ヶ月後に発売されたスカイセンサー5400(ICF-5400)では再び11シリーズのスタイルを継承します。そしてさらに半年後には、今度は5500の短波受信機能を大幅に改良した5800シリーズを出しますが、その後半年してから再び5500のマイナーチェンジである5500Aを発売。5500は1年半も据え置いたのに、5500Aは半年足らずで本機5600を発売という具合です。どうもソニーは5500で本格的BCLブームのきっかけを作ったのに、その後のユーザー・ニーズをつかみ損ねていたのかも知れません。

 

このモデル(5600)が発売と同時に5500Aが製造中止となったことから、一見するとソニーはこの5600を5500(A)の後継モデルであったように思えます。しかし機能を見てみますと、短波DX受信を狙うBCLユーザ向けではなく、普通のFMリスナーのための機種として設計されたようにも思えます。短波受信は可能でしたが、SSBには対応しておらずBFOなども備えてはいませんでした。一方でFM受信時に障害となるマルチパス検出スイッチやFM受信時にのみ作動するNULLインジケータなどが加えられていたほか、5500よりも大きいスピーカーの採用で音質向上を図るなどの改良が加えられていました。

 

さらになぜかこの5600は電源に6V DCを必要としていました。これは11シリーズや5500シリーズを含め、ソニーポータブルラジオの主力モデルはみな4.5Vを採用していたのに、この5600で6Vになったのです。確かに電源電圧を高めにすれば内部アンプの増幅能力にゆとりが生まれ、出力の増加や音質の向上など良い面が多いのですが、この5600でもFM音質の向上を狙ってのことかも知れません。実際にBCLラジオとして評判の高い、スカイセンサー5900では、短波受信性能や音質向上など改良点も多数あるにも関わらず、電源は再び4.5V DCに戻しています。

 

本機を手にしてみますと、どちらかと言えばやはりFMリスナーや深夜放送リスナーのために開発されたのではないかと思えてきました。デザイン的にも広帯域受信機というよりはデザインの格好良いラジオと言えるような、どこか洒落たデザインで、今日デスク脇に置いてもいい雰囲気です。

 

本機ではステレオアダプターSTA-110Fは使用することが出来ません。それは電源を6V DCにアップしてしまったことが決定的要因と言えますが(STA-110Fは4.5VDCが基準)、まったくデザインの釣り合わない5600とSTA-110Fを接続させてステレオというのもどうかと思うので、それはそれで由とするべきなのでしょう。実際ソニーでは別途スピーカーを持たないアダプターを別売オプションとしていました。ステレオはヘッドフォンで聴きましょうということなのでしょうか。

 

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※この時計の時刻は、閲覧しているパソコンのものであり、必ずしも正確な時間とは限りません
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