UV-EPROM : i2708 / i2716 / i2732

インベーダーゲーム用に大量に売れた、EPROM

i2708 初期
i2708 初期
i2708 後期
i2708 後期
  • 発表年月:調査中
  • 8Kビット EPROM
    (1024x8bit)

UV-EPROMとは、Ultra Violet Erasable Programmable Read Only Memoryの略で、基本はROM(内容を読み出すことしかできないメモリ)なのですが、特別な半導体プロセス技術を使用することにより、書き込むことができる上に、デバイスに強力な紫外線を照射することによって内容を一括消去もできるようにしたものです。通常の使用時はコンピュータやマイコンのプログラム(ソフト)を入れておくことで電源を切っても内容が消えないためたいへん便利なのですが、特別な方法により内容を消したり書き直したりできれば、ソフトのアップデートをしたり、別の動作をさせることができるようになり、コンピュータの汎用性やリサイクルにたいへん重宝されました。今ではデータの消去に紫外線を使うのではなく、電気的に消去ができるようになった(EEPROMやFLASHメモリなど)ため、ますます便利になり、パソコンのBIOSとか携帯電話のメモリ(ROM)、家電製品などに大量に使用されています。

 

世界初のUV-EPROMは、1971年1月インテルから技術発表が行われ、製品出荷は同年9月i1702Aという製品で商品化されました。写真はi2708という8KビットのNMOS型UV-EPROMで、1975年頃以降活躍していたEPROMです。特に1978年頃に国内で大ブームを巻き起こした、タイトー社のスペース・インベーダー・ゲームにはi8080Aとともにi2708が大量に使用され、品不足になったことでも知られています。当時はセカンドソース品も含めて2708が一斉に市場から姿を消したほどで、噂ですがアブナイ関係の方とおぼしき人がスーツケースに札束を一杯にして2708を売って欲しいとインテル社に乗り込んできたというような逸話も残されています。 

 

また、i2708の電源はi8080Aと同じ、+/-5Vと+12Vの3電源となっていたのでその使用上特に問題はなかったものの、プログラム時PROMライタの設計がきちんと定格を守っていないと瞬時に壊れるという性格を持っていたため、特に高価なPROMライタを購入できないアマチュアの間では壊れやすいEPROMという噂を立てられたりもしました。

 

写真を見ると、ガラス窓を通して半導体が見えています。これはデータを消去するときにデバイスに強い紫外線を照射する必要があるためです。紫外線蛍光灯をデバイスに接するほど接近させながら15分間程度照射することで、消去ができました。紫外線は人体に有害なので、紫外線蛍光灯を収めたデータ消去専用の箱に入れて消去をしました。消去されたEPROMにデータを書き込んで実際に使用する場合には、このガラス窓の上に光を通さない専用のシールを貼る必要がありました。何故なら万が一太陽光など紫外線を含む光が当たると、長い間使用していると徐々に消えてしまう可能性があったからです。また、集積回路に光が当たると場合によっては回路が誤動作を起こす可能性もありました。シールは普通の紙シールでは不十分で、銀箔を含む専用のものか、下の写真にもあるように紫外線をカットする黄色のシールを貼りました。シールにプログラムのバージョンを書き込んでいる姿もよく見かけたものです。

   左: i2716 初期            右: i2732

 

i1702Aで世界初のEPROMを発表・発売し、i2708で大きく成長したEPROMビジネスは、インテルにとってプロセッサに続く大きな売り上げの柱となりました。インテルはi2708の成功を踏まえ、電源を(ROM使用時)単一5Vの技術を確立し容量も2倍のi2716と、単一5V仕様のi2758(i2708と同じ8Kビット)、そしてさらにi2732というように、年を追うごとに容量の倍増ゲームを続けていきます。最終的にはUV-EPROM製品としての最大容量は1Mビットくらいまでは技術が進み、その後は電気的に消去・プログラムのできるフラッシュメモリへと進化していきました。

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