TK-80の想い出:TK-80BS BASIC Station

TK-80BS カタログ(日本電気、1979年4月版)より
TK-80BS カタログ(日本電気、1979年4月版)より
TK-80BS カタログ表紙(1979年4月版)
TK-80BS カタログ表紙(1979年4月版)

NEC TK-80BS

μCOMベーシックステーション

 

1977年11月発売

¥128,000

 

ROM : 5KB

RAM : 12KB

JISカナキーボード付属

TVインタフェース搭載

カセットインタフェース搭載

 

TK-80マイコンキットが飛ぶように売れ、雑誌I/O(1976年11月創刊)や月刊アスキー(1977年6月創刊といった2大マイコン雑誌が出版されて、日本にもマイコン・ブームの波が起こりました。米国で一足先にブームとなっていたBASIC言語インタプリタ・ソフトウェアを日本に持ち込む動きが、大学を中心として起きました。彼らはTK-80の少ないメモリ空間でもなんとか動作させようということで、Tiny BASICの開発を行いコードを発表して技術を競い合っていましたが、日本電気のTK-80担当部署でもコンピュータへの発展性を目指してTK-80を拡張するプロジェクトがスタートしました。それがTK-80BSという形で商品化されたのが、1977年11月のことです。

 

TK-80BSは単体では動作しません。あくまでTK-80/Eユーザのための拡張キットという位置づけで、マザーコネクターのブリッジ基板以外にはハンダ付け工作の必要性はなく、殆どポン付けでTK-80はBASICマシンに早変わりできたのです。このことがまた評判を呼び、マイコンブームは過熱さを増しました。

 

搭載されたBASICインタプリタはパロ・アルトTiny BASICを元として日本電気内部で開発されたもので、Level-1 BASICとLevel-2 BASICに分かれており、初期にTK-80BSを購入したユーザには、Level-2 BASICのROMが無償提供され、ユーザはROMを入れ替えてアップグレードする仕組みになっていました。このBASICはNEC独自仕様であったのですが、PC-8001開発の際には、これを再度拡張したバージョンとMicrosoft BASICとを社内で評価してみたら、独自仕様の方が動作は速かったという逸話が残されています。

 

またTK-80BSではカセット・インタフェースが標準搭載でしたので、ユーザは自分で作成したり雑誌にソースが掲載されたBASICプログラムをカセットテープを使い保存したりリストアしたりすることができました。データ転送レートはわずか300bpsから1200bps程度とたいへん遅いものでしたが、プログラム自体がそれほど大規模でもなかったので、特に問題はありませんでした。 ちなみにカセッ・トテープへ記録するデータ・フォーマットは、インテル社のマイクロコンピュータ・システム開発用機器であるMDSというツールのデータ・フォーマットを採用しており、データをいったんASCIIコードに変換してやり取りをするという、少し非効率な方法を採用していました。

 

当時コンピュータ用表示モニタ・ディスプレイはモノクロでも10万円以上もするくらい高価であったため、TK-80BSでの表示には主にテレビを使えるようになっていました。TK-80BSのRFアダプタからアンテナ線をテレビにつないで映し出す方式でした。表示される文字は少なく(わずか32文字x16行!!)、文字・記号文字だけでしかも今で言うところの半角英数カナ文字しか表示できませんでした。カラーなどはもちろん表示できず全てモノクロ表示でした。それでも起動直後にテレビに出てきたTK-80 BASIC STATIONという文字と、">" 記号と、ブリンクするカーソルが表示されたときにはもう興奮ものだったのです。

 

TK-80BSのカタログには、既に用途として「パーソナルコンピュータ」という言葉が出てきています。TK-80BSを本当に現代のパソコンのように使えたとはとても思えませんが、日本電気としてマイクロコンピュータの用途としてのパソコンを目標に据えていたことがはっきりわかります。

 

TK-80+TK-80BSという2枚の基板のセットは、マイクロコンピュータの評価教育用という当初の目的から離れて、パソコンへの道を歩み出しました。TK-80BSが発売された後に、国産初期のパソコンとしで代表的な、PC-8001が発売されたのはそれから2年余り経過した、1979年9月のことでした。

NEC TK-80BSカタログ (©NEC 1979)
TK80BS_Catalog.pdf
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このTK-80BSはいままでNEC製だとばかり思っていたのですが、実は製造委託という形で日本マイクロコンピュータ株式会社(現在の株式会社JMC)が製造していたようです。

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