AKB48あれこれ

ヲタク文化から生まれた最近のアイドルは何人か指折り挙げられるが、アキバの代表的なアイドルというと二人に分かれると思う。ひとり(ていうかグループ)は誰もが知っているAKB48であり、もうひとつはショコタンこと中川翔子さんである。

 

そこでアキバ系のヲタク文化を考えてみると、最近のそれはラジオ少年やアマ無線少年、マイコン・パソコン少年といった本質的な電気少年たちのことではない。むしろバブル以降にアキバの街を大きく変貌させる要因にもなった、ゲーム、コミックやフィギュア関連の新しいセグメントに属する人々のことを指しているのではないかと思う。

 

ヲタクとマニアという二つのセグメントは紙一重の存在であり、共通するところも多い。ただ、マニアは「趣味」を極めた状態のような存在なのに対して、ヲタクは必ずしも極めているとは言えないが、対象物自体がライフスタイルそのものになってしまっている状態といえばわかりやすいと思う。アキバ系の場合主にそれはコミックやアニメ、フィギュア、ゲームの類であるから、ヲタクといっても必ずしも男子だけではなく女子もいるし、実際過去のアキバ昼間人口と現在とを比べれば、明らかに女子は増えていると思う。ゲームが大好きでアニメ声優の仕事も多く手がけるショコタンはこうしたキーワードから生まれたアキバ発のアイドルと言える。そしてこの分野から発信されたコス喫茶やメイド喫茶はその延長線上としてヲタク達に広く受け入れられたことはよく知られている。

 

その一方でAKB48はというと、確かにアキバ発信ではあるものの明らかにショコタンとは異なる。たまたまアイドル女子グループを結成しようとした秋元康氏とそのスタッフが契約したAKB48劇場(秋葉原のドンキ内)に端を発し、その地名をグループ名にしただけである。だからAKB48をどんなにほじくり返してもそこにアキバの臭いはしないし、AKBのメンバー達も決してアキバのヲタク文化に迎合することはない。つまりAKB48はアイドル文化というアキバに新しいセグメントが生まれたということなのだ。

 

ただし、これらの文化は個別・単独に存在しているわけではなく、複合的なものである。従ってアイドルファンとアキバのヲタクとは一部重なり合うものがあるのも事実である。アキバヲタクの観点から異性を見てみると、コス喫茶やメイド喫茶、そしてアニソンに代表されるようにキーワードとして「ロリコン」を挙げることができると思う。秋元氏がAKB48を立ち上げて以降、彼女たちのイメージとして「女子高校生」を基本とし、「制服」を公式衣装のモチーフにしているのも、このキーワード(ロリコン)と無縁ではないと思う。

 

さて、このところNHKをはじめ各テレビ局でAKB48のドキュメンタリー番組が散見されるようになった。大昔のキャンディーズに始まりピンクレディーなどのドキュメンタリー番組が過去に放送されたのと同じである。それぞれにエピソードがあり、実像と虚像などの真実を知ることはたいへん興味深い。AKB48に対しても筆者自身はグループ活動当初の2005年あたりからその存在を知っていたし仕事の際にも話題として利用させていただいたこともあるので一定の知名度やファンの支持にも強いものがあると思っていた。しかし実際にはなかなか支持が伸びず2009年頃まではいつ解散してもおかしくない状態だったと言うから、てっきり最初からアイドルグループとして国内に強く発信され支持を受けてきたと思っていた筆者にとってはとても不思議に思えた。

 

一方で、ファンがAKB48を支持する理由付けというかファンにとってのAKB48の在り方もまた、かつてのアイドルファンのそれとは大きく異なっていることも面白い。かつてのアイドルファンは、その対象が自分の好みの女の子であることはもちろんだが、歌が上手でなければならなかった。自分には手の届かない遠く離れた存在だが、レコードを買ってきたりコンサートやライブステージ番組に出かけたりして応援をすることで疑似恋愛を楽しんでいたのである。ところが、AKB48のファンは、その対象が自分にとって好みの女の子(メンバー)であることは変わらないものの、歌が上手であることは2の次・3の次でいいらしい。確かにAKB48は自分に近い存在ではあるが、握手会に行けば握手したり言葉を交わすことすら可能だ。今までの中で最も身近なアイドルなのである。だから握手を何回もできたり言葉も交わせるように一人で何十枚もの握手券付きCDを買ったりするほうが優先されるのだ。彼らにとってAKB48は、歌手ではあっても歌う必要性はあまりないとすら思える。

 

以前アイドルグループには常に親衛隊なるものが存在していた。この親衛隊をアイドル事務所は上手に利用していて、ステージでもファンとの一体感を出すために歌に合わせて踊るファンの振り付けやかけ声などについて、親衛隊を経由してファン全体へと浸透させるなど整然と計画的に誘導していたようだが、AKB48の場合どうも親衛隊が存在していないようだし、ファンの振り付けも自然発生的なヲタク踊りのような気がする。おそらく昔のアイドルと異なり、大手のプロモーターが関与していないためなのか、もしくは多数のファンを作り出すための資金を投入できなかったのだろう。

 

AKB48にはあまり予算をかけられなかったであろうということは彼女たちのレパートリー(曲)を聴いても理解できる。まず曲のアレンジがひどい、ていうか単調である。ヲタク系ファンを意識したのか単純にワイワイガヤガヤ楽しめるような、シンプルな和音構成である。アレンジもひどい。まるでお祭りの太鼓を聴いているような単著なリズムだから、それを聴いてどう踊っても満足してしまうのである。バック演奏もひどい。もしかしてこのバックはDTM(コンピュータミュージック)で自動的にシンセサイザーを鳴らしているのかと思うような音であり、微塵もテンポの乱れがない様をみると、やはりコンピューターに演奏させたものであるような気がする。また金管楽器の薄っぺらさはシンセのブラスのような響きである。しかも彼女たちのボイスには眺めのリバーブとコーラスという強めのエフェクターをかけているから真の歌声は殆ど隠れてしまっている。メロディーやコード進行も耳障りがよく過去の曲に出てきたフレーズのいいとこ取りだ。そういう意味では小室哲哉もいいとこ取り作曲の名手であったが、それよりひどい。

 

そして最後にひどいのはその録音だ。昨今のJPOPSに見られるように、このAKB48もまためちゃくちゃコンプかけまくり状態である。さらに一部の曲 (Everyday、カチューシャ)は明らかにオーバーシュート(過入力)でミキサーのアンプが歪んだ状態になっている。どこかのインタビューでディレクターだかプロデューサーだかがまるで意図して歪ませたようなことを言っているが、あり得ないことだし開き直りかと思うほど白々しいコメントである。もちろんのことだが評価サイトには音の歪みに対するクレームが多く上がっている。そういう意味でお金をかけた収録とは到底思えない状況証拠ばかりである。最近のJ-POPシーンでは、デジタルMIXが当たり前の世界だ。少しまともなスタジオなら、デジタルミキサーを使用するのが当たり前である。これはマイクアンプを通ればすぐ各チャネル単位でデジタル化してしまい、イコライザとかミキシングなどはすべてDSPを通してデジタル処理される。通常マイクアンプはアナログであってもデジタル変換のダイナミックレンジよりも大きく余裕をとってありここで歪むことはまずあり得ない。その一方でデジタル変換時の過入力歪みの場合はとても聞くに堪えないブチブチした音になる。しかもこの部分では通常コンプレッション(リミッター)によりオーバーシュートしないように工夫されているので、この部分でもこんな歪みの音になることはあり得ないのだ。

 

「Evryday、カチューシャ」のひどい音質はアナログ信号の歪みだと思うので、古いアナログミキサー使って無意味にゲインを上げて歪ませてしまったような気がする。もちろんこれはデジタル的に生み出すこともできるのであるが、「Everyday、カチューシャ」ではギターのディストーションのように敢えてその歪みを加えたという音楽性や意図を感じることができず、単に録音に失敗しちゃったの?と思うばかりである。

 

一方ですべての曲がだめかというと、そうでもない。少し前の曲にはなるが「桜の栞」や「桜の木になろう」などピアノがバックの曲についてはまだマシなアレンジや録音を見せている。以上のように、AKB48のひどい録音という事実もまた、AKB48が予算困窮状態であったことを証明しているのかもしれない。たとえば良い設備のスタジオを借りられなかったり、優れた腕を持つ録音エンジニアを調達できなかったとか、スタジオミュージシャンも十分揃えられずにDTMでバックバンドを済ませてしまったとか・・・ということである。

 

AKB48の今後を占うとき、当の本人達もあと数年しか人気は続かないと冷静な分析をしているようだが、それは本当のことなのかも知れない。爆発的な人気を得てからわずか2年余り。握手券でCD売り上げはファンの実数以上に売れたものの、ここへきてやっと累積赤字から脱却できるかどうかという状況なのではないだろうか。今後売り上げとしても重要な柱となるべきCD制作の質的向上を早急に進めないとファンのCD離れが進み、握手会の盛り上がりに影響を及ぼし始めるだろう。握手会に影響が出始めると、今度は総選挙やじゃんけん大会などの盛り上がりにも影響が伝わり出すに違いない。そうなるとAKB48も一気に崩落の道へと走り出すかもしれないのである。そういう危険性を孕んでいると言うことだ。

 

筆者自身は電気少年としてアキバを聖地だと思っているのだが、現在の入り乱れたアキバも好きである。ごちゃごちゃしたドヤ街のような雰囲気も好きだけど、メイド服を着てアキバが好きだと言ってくれる女の子がいるのもまた嬉しく思う。そしてAKB48たちが姿形を変え新しいファン達を生み出しながらも、アキバ発信ということを守り続けてくれることに期待したい。

 

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コメント: 2
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