i4004   MCS-4 4ビット・マイクロプロセッサ

世界初のマイクロプロセッサ

i4004
i4004
  • 1971年11月発表
  • クロック周波数:108KHz
  • 処理ビット数:4ビット
  • 集積トランジスタ数:2,300個
  • 半導体プロセス:10μm P-MOS

i4004(MCS-4)は、インテル社により世界で初めて開発された、4ビット・マイクロプロセッサです。

 

処理能力としては、世界初のコンピュータ装置である米国ENIACと同等と言われています。i4004と同時に、ROM、RAM、I/O素子として、4001/4002/4003も併せて開発され、これら4素子を接続することでマイクロコンピュータ・システムを構成していました。これら4素子をまとめてMCS-4 (Micro Computer System)ファミリと呼ばれています。

 

このMCS-4は、もともと日本の電卓メーカであるビジコンという会社の注文によるカスタム・チップとして多機種展開可能な電卓用チップのために開発されたものです。開発途上で開発者のフェデリコ・ファジーン氏と嶋正利氏によりノイマン型コンピュータを応用する発想が生まれ、その結果世界で初めてのソフトウェア動作によるシングルチップCPU(マイクロプロセッサ)の発明へと結びつきました。

 

i4004発表を機に世界の半導体メーカは一斉に独自のマイクロコンピュータ開発を手がけますが、その用途となるとなかなか計算機以外の用途は思い浮かばず、いろいろな業界の技術者達は、まずどのような用途に使おうかというところから考えなければなりませんでした。

写真のi4004は、組み立て工程がマレーシアで、1976年第34週製造とのスタンプが押されています。最初のマイクロコンピュータがそんなに爆発的に売れたとは聞いていないのですが、発表後5年経っても製造を続けていたとは驚きです。ロングセラー・モデルだったんですね。

 

ちなみに、この白いボディはセラミック製で、日本の京都セラミック社(現京セラ)製です。リード(端子)は2列に並んでいるのでDIP(Dual Inline Package)と呼びます。写真に写っている製品型式にC4004とありますが、先頭のCという記号はパッケージコードで、CeramicのCから由来しています。

 

真ん中のフタやリードなど光っている金属は全部金メッキで、内部の半導体に接続している配線(ボンディング・ワイヤ)も金線ですし、リードとセラミックボディ側の端子を接着しているのも金です。結構ゴージャスだったのです。

 

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コラム:インテル社は世界で初めてマイクロコンピュータを開発したのですか?

一般的に米国のインテル社は世界で初めてマイクロコンピュータを開発した会社であると言われているようですが、これは本当のことなのでしょうか。

 

どうも正確には正しくないようです。正しくは、「インテル社は世界で初めてシングルチップ・マイクロプロセッサーを開発した会社である」という言い方が正しいかも知れません。マイクロコンピュータという、いわゆるシステム全体にわたる範囲で答えるなら、インテル社よりも5ヶ月余り先立つ1971年6月、世界で初めて公開したのはテキサス・インスツルメンツ社(TI社)であるということになります。このときTI社のマイクロコンピュータは組込み型向けに最適なシングルチップ・マイクロコントローラのアーキテクチャであったのです。

 

インテル社のi4004(MCS-4)ファミリは、日本の電卓メーカであったビジコン社からの発注により、1971年1月に完成し同社への出荷が始まったのですが、このときはビジコン社による排他的なASIC供給契約であったため、インテル社はマイクロコンピュータとして発表することができなかったようです。

 

1970年当時、デジタル論理回路技術は特に珍しくはなかったですし、ノイマン方式のストアード・コンピュータも大型汎用コンピュータなどが普及していました。それらの技術を半導体(MOS型LSI)に集積しようという試みと商品化は当然のことで各社により進められていました。いわゆるマイコンの特許についてエピソードはいくつかあるのですが、実際には1971年6月にTI社は8ビットのTMS100アーキテクチャを発表し、それがマイクロコンピュータの始まりと見なして良いと思います。ただTMS-100の開発は失敗に終わったようで、最終的に商品化はなされなかったと思います。

 

しかしTI社は同年、CPU+ROM+RAM+I/Oをすべて詰め込んだシングルチップ・マイコンTMS-1000の特許を出願します。これはインテル社のi4004発表(同年11月)よりも前であったので、一瞬の差でTI社の方が先に発明したということになったわけです。この特許は1978年に正式に成立し、インテル社はTI社との間で締結したクロスライセンスに基づき、マイコンの特許を継続使用できることになりました。

 

TI社では、インテル社のように「コンピュータ」への進化ではなく組込み型へ進化していったのです。そのことが後にパソコンのインテルと組込み型のTIという差が生まれていったのだと思います。

 

インテルもTIも、マイクロコンピュータの発想にたどり着いたのは、どちらも電卓への応用でした。TIはできるだけコンピュータのすべてをひとつのLSIへ詰め込むことにこだわりました。インテル社は技術面で十分でなかったせいか、1個のLSIということにはこだわらず、機能別に4個に分割しました。それが将来のシステム構成の自由度というメリットとして新たな展開を生みました。インテルがMCS-4を発表したとき、そこには電卓の影はもはやありませんでした。TI社は逆に組込み型市場で製品展開し、プロセッサの技術革新もより簡素化して最終的にDSPという分野で大きな存在を示すことになります。

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