Canon F-1 n (後期型)

キヤノン初プロ写真家向けシステムカメラ改良モデル

Canon F-1n FD50mm F1.4S.S.C付き
Canon F-1n FD50mm F1.4S.S.C付き

【For Professional】

1971年3月、プロ向けのシステムカメラ Canon F-1 が発売になりました。それまではニコンの独壇場とも言えたプロ写真家・報道関係者向けのカメラ市場に対して、およそ5年にわたる歳月をかけて開発された F-1は、システムカメラのお手本とも言えた Nikon F シリーズを徹底的に分析、プロ写真家や報道カメラマンなどの意見を十分に集約する形で研究開発が行われ、10年間はフルモデルチェンジを行わないというコンセプトで製品化されたのです。

 

Canon F-1 は、それまでのどのキヤノン一眼レフカメラとも異なり、キヤノンの持つすべての最新カメラ技術を投入した渾身の力作だったのです。

 

  1.  それまでの自動絞りFLレンズを開放測光方式に合わせたFDレンズに変更。鏡胴設計からすべてを新設計とする全面改良を行いました。マウントの接合部分についてはR・FLレンズと共用にしつつも、開放測光や、きたるべきAE(自動露出)時代に備えてボディに対するレンズの開放絞り値伝達ピン、絞り値設定連動機構、実絞り連動レバー(FLレンズ互換)、絞りオート信号ピンなどの各種機構がマウントに組み込まれました。ボディとレンズを結合するスピゴットマウントは継続されました。 
  2. ボディは容易に分割できる設計とし、各種のオプション設定を設けることにより、様々な撮影シーンに対して最適なカメラ機構にカスタマイズ出来るようにしました。これは Nikon Fシリーズと全く同じコンセプトです。 
  3. ファインダーは標準がアイレベル式のTTL開放測光方式ですが、オプションとして低照度測光用ブースターTファインダー、EEファインダー、ウェストレベル・ファインダー、スピードファインダーなどを用意して交換利用できるようになっています。 
  4. フィルム裏蓋も交換でき、ロールフィルムを使用する写真家のためにフィルムチェンバーを取り付けられるようにしました。 
  5. ボディ下部も、フィルムの自動送りや連写に対応するように、ワインダー、モータードライブ装置などを装着できるようにしました。 
  6. TTL測光方式は、開放測光、絞り込み測光、実絞り測光の3種類が可能。測光センサはCdS素子をCanon FTと同じくコンデンサーレンズ脇に配置。ファインダー中央部の12%エリアを測光する中央部部分測光方式を採用しています。コンデンサーレンズの一部分をハーフミラーにして、測光用の光をセンサに導入する方式は FT の技術を応用したものです。 
  7. シャッターはプロ用として10万回の動作保証をしています。そのために、より信頼性の高いチタン金属膜シャッターを採用しています。シャッター速度はフレックスR2000以来久しぶりの1/2000秒が復活しました。 
  8. C.A.T.と呼ばれるフラッシュオートシステムの新開発。現在のAFカメラに見られるフラッシュ・オートシステムまでは至らないものの、カメラと専用ストロボ(133D)、レンズに取り付ける距離計アダプタにより、被写体までの距離とストロボ充電量などをカメラ側に伝達し、TTL露出計に連動させて最適な絞り値等を設定することが出来ます。

 

以上のように Canon F-1はキヤノンというカメラメーカーをニコンに並ぶ2大カメラメーカーへ育て上げた、まさにフラッグシップ製品として歴史に名をとどめています。

 

この F-1は、発売後5年ほど経った1976年にマイナーモデルチェンジを受けています。これがCanon F-1 NewとかF-1改と呼ばれる機種で、昨今では後期形 F-1とも呼ばれています。これに対してマイナーモデルチェンジ前の機種は前期型 F-1と呼ばれることが多いようです。それまでに F-1は広告業界やグラビア等のプロカメラマンに広く浸透してきており、そうしたプロカメラマンの要望を受け入れる形で主に使い勝手を向上させる変更を行いました。システムそのものには手を加えず、フィルム巻き上げ角度を小さくしてシャッターチャージの時間を短縮したり、巻き上げレバーに指当てをつけるなどの対策や、露出計の感度を上げるなどの対策を行っていて、現在ではこの後期形のほうが人気が高いようです。

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