震災直後の避難行動と判断ミス

震災のその瞬間は、勤務先のオフィスで仕事中でした。場所は東京のとある超高層ビル内にあります。高層ビルは柔構造と言われ、地震の時の揺れは比較的大きいけれど、地震の揺れを吸収する仕組みになっているから大丈夫だと言われます。

 

確かにこの東日本大震災では都心は震度5程度でしたが、オフィス内での被害は全くありませんでした。書類が散乱したとかIT機器に被害があったとかは全くなかったのです。ただ受付に飾ってあった物が床に落ちるなどの被害でした。

 

それでももちろんエレベータは全基停止しましたし、全社員が非常階段を使って地上まで降りることになったほど大きな揺れに見舞われました。携帯電話のワンセグ放送ではNHKのアナウンサーが繰り返し避難を呼びかけ津波への注意を呼びかけていました。

 

特に自分自身への被害が全くなかったことで、少しこの震災を甘く見てしまったと思います。会社から帰宅許可が出て、どうやら首都圏の電車がすべて止まってしまっているらしいということは知っていたものの、まぁ夜までには徐々にでも電車が動き始めるのではないかという予想を抱いてしまったのです。これが初動を遅らせ無駄な時間を使ってしまったポイントでした。

 

自分自身の被害がなかったことは、すべての判断を遅らせました。周りのビル街を見ても別に何ともありませんでしたし、緊急車両のサイレンなども聞こえませんでした。加えてワンセグで放送される地震速報などもすべて東北地方の震災地域情報ばかりで、特に首都圏の情報はありませんでした。これらのことから、その後自分を直撃した帰宅難民という状況を予想させることはなかったのです。

 

自分が無傷であったということで、決して状況を甘く見てはいけない、のです。

 

次に、自分は冷静に行動していたつもりでしたが、後から思えば呆然としていたか、もしくは妙に交通機関への信頼を置きすぎていたことです。あのとき決断すべきは、自分は今日自宅まで帰りつけるのか、帰宅は無理なのかということでした。

首都圏の「すべての」鉄道が運行中止となり「復旧の目処が立たない」ということで、すぐさまホテルの確保をすべきでした。夜になってもまだ「なんとか少しでもJRは運行再開してくれるだろう」などと期待してはいけなかったのです。真冬のように寒い中で黙々と帰宅できる当てもなく歩いても、自分のエネルギーを消耗させるだけでした。

 

正確な情報もないのに、無理なことをしてはいけない、のです。大震災クラスの災害に直面したときは、即座にホテルなどの宿泊手配をすべきなのです。

 

最悪でも暖房の効いたオフィスで夜を明かすべきだったと思います。震災直後はまだコンビニなどに食料もあったし、飲食店なども営業していました。翌日には鉄道が動き出したので、それを待てば効率よく帰宅できたと思います。

 

三番目に、日頃から災害避難に対して自分自身の行動指針を持っていなかったことが、さらに行動を遅らせる原因となってしまいました。行動指針を持つということは、防災訓練では培うことができません。ビルから脱出する最中に決めておかなければならないことです。

 

あらかじめ行動指針を用意しておかなければならない、のです。

 

これらを怠っていたために、私は帰宅難民となってしまいました。

 

かろうじて友人宅に避難させていただくことができましたが、多くの方が駅前やビルのロビーなどで寒い一夜を明かしたと聞きました。

 

<<前へ                       次へ>>

※この時計の時刻は、閲覧しているパソコンのものであり、必ずしも正確な時間とは限りません
ITmedia人気iPhoneアプリ