震災報道に思うこと

かつてない巨大地震の惨状の前に、市民だけでなく政府やマスメディアも慌てふためいたと思います。ここでは、震災直後の報道について考えてみたいと思います。

震災直後:全く役に立たなかった首都圏キー局やNHK

揺れがどんどん大きくなり、「こ・これは大きいぞ!」と思った瞬間、私は咄嗟に携帯のワンセグをONにしていました。すぐ避難する必要があるかもしれない場合、のんびりとパソコンで情報を調べているゆとりはありません。そのような場合最も早い情報ソースとなると、テレビやラジオということになります。

 

高層ビルから地上に避難してワンセグに注目しました。ところが何時まで経ってもNHKはもとより民放各社とも震源地の情報ばかりを流して、首都圏の状況はなにも知らせてくれませんでした。当日は私を含めて帰宅難民が出るほどの状況に首都圏は襲われたのです。たしかに震度は都心で5強、建物は倒れず死傷者の数も少なかったですが、鉄道は止まって再開の見通しが立たないと言ったきり、なにも情報を流してくれませんでした。結局スマートフォンや携帯電話をネットにつないで道路情報や鉄道情報を取らなければなりませんでした。

 

私はこのことに大きな失望を感じています。東京にはキー局がいくつもあるのに、そのお膝元にいる数千万人のための情報をまったく流さず、どの局も同じ震災地域の情報しか伝えないなんて。私にはこれらの放送局に存在意義を感じませんでした。こんな時はいったん全国ネットワークを解除し、非常時の際の各局の役割をあらかじめ決めておいて、それに沿って分担して効率のよい放送をしていただきたいものです。

 

たとえば極端かもしれませんが、民放各社を首都圏の5方面(都心23区方面、神奈川・静岡方面、東京西部・多摩・山梨方面、埼玉・群馬・栃木方面、千葉・茨城方面)に各々分担して交通情報や被害・復旧状況などを報道してもらうとか、もっと有益な地域情報を流してくれれば多くのサラリーマンたちは無理をして徒歩帰宅をするなどをさせずに済んだのではないかと思います。震災関連地域の報道も大切ですが、同じく数千万人が路頭を迷う都心の情報報道も大切だと言うことを再認識していただきたいと強く思います。

 

少なくとも私は動かないJR路線の沿線を徒歩で主要駅に向かっていた夕刻から夜にかけて、ワンセグを電池がなくなるまでつけっぱなしにしていたにもかかわらず、この首都圏で一体どういう状況になっているのかがよくわかりませんでした。そのため自分がいま正しい行動をしているのか否かがわからなかったのです。放送なんてまったくアテにならないものだと思い知らされました。

3面記事が大好きなマスコミ

震災後、災害特別番組やニュースの話題は特定の大きな被災地ばかりを取り上げていました。いまは福島原発事故の話題に集中している傾向が見られます。一面泥沼と化した津波災害地域の映像は、あまりにも衝撃的で見た目にも分かりやすいですが、その結果として援助物資はそのような地域を対象として届けられ始めました。その一方で福島県南部や茨城県北部などは当初一週間前後はあまり注目されず、道路・鉄道・港湾施設の損壊も重なり援助物資がなかなか届かなかったということです。震災後一週間ほどの間は殆ど報道されず、「忘れられてるの?」という疑念すら抱きました。チバテレビなどは地道に今日営業している銭湯なんて情報をテロップで流していましたが、そういう情報も含めて地方の小さなローカル局に押し付けるのが正しいことなのでしょうか?

 

今回の被災地域があまりにも広範囲であったため、メディアの取材も十分にはできなかった一面はあるでしょうが、あまり偏りのない取材方法や番組編集を心がけていただきたいものだとつくづく感じました。災害に順位や優劣はつけられないと思うのです。

 

センセーショナルな話題で関心を呼びたいのでしょうが、調べればベイエリアだって甚大な影響を受けているのに当初はほとんど放送されませんでした。横浜市でも液状化に伴う地盤沈下・隆起などでびっくりするような場所もあるようです。震災地域以外でも、ごく最近まで不通区間のあった鉄道路線もあるし、そういうことも首都圏で働いたり住んだりしている人々にとっては大切なニュースなんですけどね。

震災地域の天気予報・・・?

このところ、各キー局の夜のニュース情報番組を見ていますと、天気予報のコーナーでは、震災地域の天気予報と称して主に津波の被害に遭った東北各市町の詳細な天気予報が報道されています。でもそれって何の意味があるのでしょう?地方都市に関しては従来からNHKの地方局単位で詳細予報は報道されているし、民放も天気予報に関してはローカル局に切り替えて放送しているので、それで十分だと思うのですが?

信頼できない原発事故報道

昔流行った小松左京氏の小説で「日本沈没」というのがあり、そこでは国民のパニックを恐れた政府が徹底して初期の報道をコントロールする話が載っていました。この度の原発事故に関して、私はある種同じような行動原理が政府内やマスコミに働いたのだと思っています。

 

著名な大学の専門学科教授をコメンテーターに読んでおきながら、「大丈夫です」「影響ありません」の連続で悪いシナリオは起こらないと思いますしか言いませんでした。しかも「直ちに・影響が出ることはありません」とか必ず前置きを置いて自らの保護をする話し方は、理系出身の私から見ればあまりにも無責任すぎると憤りを禁じえませんでした。これらのコメンテーターは現場に駆けつけて原子力のプロ(専門家)としての協力・援助を申し出ることもせず、殆ど意味のない発言に終始して、キャスターたちも「はぁ、そうですか」としか言わない。時間の無駄でした。

 

そしてある時を過ぎると、今度は一斉に最悪のシナリオとか言い出したのです。いきなり何なのでしょう。日本沈没流に考えると、ひょっとして原発の状況はかなり悲観的になってきているのではないか?国民のショックを抑えるために、ここである程度ショッキングな言い方を敢えてしているのではないか?と勘ぐりたくなります。もう日本政府の手に負えない状況なのではないでしょうか。

活躍しなかったJRのお姉さん

毎朝観るテレビのワイド番組で出てきて、「今朝のJR各線は平常運行をしております。」しか言わないJRのお姉さん。もしテレビ向け報道担当者なのであれば、どうして震災直後に活躍しなかったのでしょう?もうそれだけで飾られているだけの存在がわかりますよね。悲しい。

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