MCS-51 8ビット・シングルチップ・マイクロコントローラ

MCS-51 (i8751H) マイクロコントローラ
MCS-51 (i8751H) マイクロコントローラ

MCS-51は、MCS-48の後継機種として1980年に発表されました。ただMCS-48とは互換性はなく、全く新しいアーキテクチャとして登場しています。MCS-48に比較するとアドレス空間の大幅な拡張やI/Oポートの充実など様々な点でMCS-48を大きく上回った機能・性能を達成していますが、特にブール代数演算命令セットを持たせたことから、「ブーリアン・プロセッサ」という別名で呼ばれていたことがあります。

 

MCS-51の代表的なアプリケーションといえばハードディスク用コントローラや電子楽器、業務用ハンディ機器などが挙げられます。その他にも自動車排気ガス抑制のための空燃比制御やMCS48の延長線上としてパソコン用キーボードにも使われました。後年このMCS-51と上位互換性を持ったRISCプロセッサであるMCS-251というマイコンが登場し、初期のUSBデバイスやハブ用コントローラ(いずれもASSP)が出荷されましたが、USBが今のように普及するに至る前のことでビジネス的には大きく苦戦し撤退を余儀なくされています。

 

インテル社としては1980年代にそれまでi8085が使われてきたアプリケーションの後継としてMCs-51を位置づけていたようですが、これらのアプリケーションにとっては80/85系のアーキテクチャと大きく異なるMCS-51には殆ど興味を持たず、思惑通りにはいかなかったようです。これらは後に80186系へと移っていきました。

 

MCS-51の変わり種としては、8052AHのROMに独自のBASICインタプリタを搭載したi8085AH-BASICというデバイスがあります。シリアルポート経由で端末と接続すると、1チップマイコンながらかなり動作の速いBASICコンピュータとして使うことができましたが、殆どこれは趣味の世界でした。

 

MCS-51は2007年春をもってインテルの製造を完了していますが、まだセカンドソース各社からは販売を継続していると思います。

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