YAMAHA AX-2000A Integrated AMP

ヤマハ・アンプの伝統を受け継いだ、最後のオーディオアンプ

YAMAHA AX-2000A Integrated Amp
YAMAHA AX-2000A Integrated Amp
YAMAHA アンプ、チューナ総合カタログ'90.12版より
YAMAHA アンプ、チューナ総合カタログ'90.12版より
AX-2000A発売当時のカタログ '90.12
AX-2000A発売当時のカタログ '90.12

YAMAHA Integrated Amplifier

 

・AX-2000A

 (平成2年発売)

 ¥240,000

 

※生産終了時期は調査中。

 

定格出力:150W+150W

       (6Ω、歪率0.003%)

       A級

   

     

私の記憶に間違えがなければ、このAX-2000Aというインテグレーテッド・アンプは、1970年代から1990年までのオーディオブームを支える数々の伝説的ヤマハ・アンプの歴史のなかで、オーディオ専用の高級プリメインアンプとしてはその最後を飾った機種であろうと思います。

 

その後しばらくの間ヤマハはAVアンプやシアターに開発の軸足を移していましたが、AX-2000A発売後18年あまり経過した2008年、突如 A-S1000/2000 といった新しいラインアップを揃えてきました。その最新型のアンプは白木調のサイドパネルとシルバーヘアライン加工のフロントパネル、そしてアルミ削り出しの切り替えスイッチとボリュームなど、明らかにヤマハのアイデンティティの原点たる CA-1000(1973年発売)を意識したもので、内容的にもアンプ全段平衡回路とするなど、再びアナログ回路の特性を追求したモデルとして注目されています。

 

アンプ開発の手法に関して、ヤマハというメーカーはSONYと少し似ている部分があります。それは自社の半導体部門との間で技術的に密接な開発関係があり、それを使いこなすために回路設計のポリシーを設定していくという手法です。特にパワーアンプなどで重視される前段のDual FETや最終段のパワートランジスタ(パワーFET含む)に関する自社製半導体デバイスとその使いこなしについては象徴的です。もっとも出来上がったデバイスの特性も、そして回路設計コンセプトも異なりますから、出てくる音の性格はヤマハとソニー2社の間に類似点はありません。

 

さて、オーディオブーム最後を飾るにふさわしいAX-2000Aは、ソースのデジタル化が急速に進みつつあるオーディオ業界において、敢えてデジタル・インテグレーションを排除してまでアナログ回路の究極にこだわった誇りあるYAMAHA頂点に君臨する最先端のアンプ設計ポリシーを与えられました。プリアンプ部には、専用開発されたDual-FETによる超ローノイズ・アンプとダイナミックにS/Nを低下させるアクティブボリュームとの組み合わせにより実使用時ボリュームによるS/N低下を排除し実質22dBという劇的なS/N改善に成功。またパワーアンプには終段(電力増幅段)の対数特性を生かした双曲線変換により、全負荷で純A級動作を可能にした画期的な構成としています。これらを支える電源部には420VAという巨大な電源トランスと27,000uFx2というこれも超弩級の電解コンデンサを奢っており、さらにパワーアンプ部、プリアンプ部、コントロール部それぞれに完全独立した電源を与え、互いの影響を排除しています。 加えて各回路ブロック単位でシールドされた銅メッキ・シャーシやLR対称配置の回路基板レイアウト、ソース入力と録音出力切り替え部分には経年劣化を防止するためにFETによる完全電子化をするなど、徹底的にノイズの発生や品質の劣化を防ぎ高品質を維持できるために心血を注いでいます。全段DC回路構成なのは当然として、最もシンプルで品質のよいダイレクト入力(プリアンプのバイパス回路)にはプロ用機器に使用されている低インピーダンス平衡接続が可能なXLR入力を備え、その意味でもこれでもかというほど徹底した追求がなされています。

 

今ではもはやこれだけの素材を揃えて組み立てることは不可能に近く、経済界が活況を呈していたバブル期絶頂だった1980年代末期のまさにMade in Japanの頂点を極める贅沢さと言えます。ヤマハというメーカーとして忘れられない名機であるCA-2000から始められた、上位として君臨する誉れ高い型番であるこの2000番台にふさわしいモデルと言えるのだと思います。そのことは、このモデルを最後にしばらくの間ヤマハはインテグレーテッド・オーディオ・アンプに対して2000番の称号を与えていないことからもよくわかります。 同時に国内ではバブルが崩壊し、このような高級アンプの需要が一気に冷え込んで、オーディオの世界は変節を迎えて行ったのです。

 

私は学生時代にヤマハのCA-1000IIIという名機に出会い、大切に使用してきました。しかしオーディオの世界がデジタルソース中心となり20年前の名機もいささか役不足になってきたこともあり、デッドストックであった本機に出会った機会に乗り換えることにしました。音の傾向はCAシリーズから一貫している暖かみのある自然なサウンドで聴き疲れもなく、現在は私のオーディオシステムで基幹となる位置を占めています。前述したような贅を尽くしたアンプということを意識させないのですが、そのことにこそこのアンプの真価があるのだと思っています。

 

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