JR山手線日暮里駅から常磐線快速電車に乗り換えてわずか一駅のところに三河島駅はあります。常磐線は日暮里駅を出て直ぐ大きくカーブを進行し、Uターンするほど曲がったところが駅なので、場所的には日暮里駅から歩いても10分もかからないほど近い駅です。
常磐線が日本鉄道株式会社の路線として開業した明治時代には、その終点はなんと今の田端駅だったそうです。その名残が今でも貨物専用線として三河島から真っ直ぐ田端の操車場方面に向かっているのがわかります。常磐線を上野駅へと接続させるために無理矢理線路をUターンさせて日暮里駅に接続させたのが明治38年(1905)で、そのとき同時に三河島駅が開業したそうです。
レトロ駅としてなぜ三河島駅を選んだのかというと、駅の構造物としてのコンクリートの柱などがいかにも昭和の駅をイメージさせるものだからです。さらに今でこそ少し変わりましたが、長い間ホームの屋根も5両分くらいしかなく、改築された今でも10両分くらいしかありません(電車は普段は15両編成が多いです)。山手線から一駅のJR幹線なのにローカルっぽい駅は三河島くらいではないでしょうか。 いや、高崎線・東北本線の尾久駅も同じような雰囲気かも知れませんが、たいへんレアな存在には変わりありません。
そこで、昭和30年代をイメージした夜の三河島駅というテーマで撮影したくなり、TOSHIEさんにお願いして撮ってみたのがこの写真です。
駅のコンクリート柱がいつ建てられたのかはよくわかりませんが、恐らく戦前であったことは間違いないでしょう。あの有名な鉄道事故である三河島事故のときにはもうあったはずです。柱はやはり年月を感じるもので、駅を照らす白熱電球がレトロを感じます。
TOSHIEさんの雰囲気もレトロを感じてもらえるでしょうか。
これらの写真がきっかけで、鉄道関係の雑誌の方からお仕事をいただきました。
撮影機材: Canon EOS5D MarkII; EF24-105mm F4L IS USM